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毎日がひとりオフ

ネットの話題とITと音楽。

読書感想文・食堂かたつむり

抽象的な表現になりますが、ゆるくふんわりしたものが好きです。

説明しづらいのですが、おだやかな空間や時間、雰囲気といったものを、ぼくは「ゆるいもの」と認識しております。

この「食堂かたつむり」を書店で手に取ったのも、タイトルと表紙からただよう、その「ゆるさ」に惹かれたからでした。

食堂かたつむり (ポプラ文庫)

いわゆる「ジャケ買い」で手にした一冊でしたが、冒頭はいきなり主人公のどん底からはじまります。

とりあえず「インド人信用できない」とか思っちゃいます。 この意味は、読めばわかります。

いやいいインド人もいるんだけどさ。

ともあれどん底状態からスタートした主人公、倫子が紆余曲折を経て、自身がオーナーシェフをつとめる「食堂かたつむり」をオープン、食べ物を通じて、人や自然、家族とつながることを学んでゆく、というお話。

基本的に、ものがたりはゆるりゆるりと進んで参ります。

窮地をいかに切り抜けるかなんていった類いの展開はほとんどなし。

失意の底からスタートした倫子は、もちろん物語の始まりから大人なのですが、食堂かたつむりの営業を通じて少しずつ成長していきます。

倫子は、厨房の仕事について、ある程度のこと(いや、それ以上?)はそつなくこなします。だから、そのゆるやかな成長に、読んでいても気づかないかもしれない。

でも、読了後に物語を振り返ってみると、彼女のほんの数歩くらいの成長を、ぼくは見届けていたのだなぁと感じました。

淡々と、食堂かたつむりの営業をのぞきこむような気持ちでお読みください。

食堂かたつむり (ポプラ文庫)

食堂かたつむり (ポプラ文庫)